本八幡の整体、風の整体院の岩田です。「忙しい」という字は、心を亡くすと書きますが、現代では「脳を失う」と言い換えてもいいのかもしれません。「一度にたくさんの仕事を頼まれる」「過密スケジュールでいっぱいいっぱい」こうなると、ミスが増える、物忘れが多くなる、イライラしやすくなるなど、脳機能の一時的な喪失現象が現れてきます。忙しくて「脳を失う」ことは、正確には「ワーキングメモリの機能低下」を意味します。ワーキングメモリとは、段取りをつける能力、あるいは何かをしながら情報や周囲の状況を短時間だけ記憶しておく、パソコンでいうメモリのようなものとされています。主に、大脳の前頭前野がワーキングメモリをつかさどっていると考えられています。段取り能力や同時進行能力の中枢なわけですから、仕事の負荷が重くなってくると、ワーキングメモリの処理能力も落ちてきます。具体的には、会話や状況が流れていく中で、ついさっき言われたことや気づいたことが、頭に入りません。直前のことが記憶できなくなると、次に何を言えばいいのか、何をしたらいいのかの判断が下せなくなってしまいます。ワーキングメモリの働きを一時的にでも失ってしまうと、記憶力、判断力、ひいては感情コントロール能力までもが、ダメージを受けることになります。まさに、あまりに忙しいと、「脳を失う」ことになりかねないのです。過剰負荷によってダメージを受けたワーキングメモリを復活させるいちばんの方法は、「休む」ことしかありません。休憩、息抜きによるリラックスがワーキングメモリの回復には、副作用もなく、しかも効果的です。現代医学においても、ワーキングメモリの機能を高める薬剤は、残念ながら発見されていません。しかし、もしそういう薬剤があったとしたら、人間は休む大義名分を失ってしまいかねません。疲れていても、「ワーキングメモリ回復剤でも飲んで頑張れ」と言われてしまいそうです。市販されている栄養ドリンクにも、交感神経を高めることによって、一時的にはワーキングメモリを高める効果は、実証されていないにせよあるかもしれません。しかし、一時的な効果に限定されるでしょう。忙しいときほど、「休む」が効くことを再認識しましょう。しっかり休憩を満喫するだけでなく、日常のちょっとした休憩や仮眠でさえも、ワーキングメモリを取り戻す効果としてはバカにできません。「ちょっと栄養ドリンクでも飲んで頑張ろう」と気合いを入れなければならないときもあるでしょうが、無理に頑張る前に「どこかで休憩できないかな」と考えることが、医学・科学の観点からも勧められる対処法です。こころも脳も失ってしまう前に、ちょっとした「休み」でワーキングメモリの機能をチャージしておきましょう。
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