衰えているのは「脳の自律神経」

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。運動をすると、呼吸や脈拍が速くなり、体温を調整するために汗をかきます。それを100分の1秒単位のレベルでこまめにコントロールしているのが脳の自律神経の中枢です。サッカーの中盤のポジションのように、止まっては動いて…を繰り返す運動では、そのたびに脈拍を変えています。それが脳をどれほど激しく疲れさせることなのか、簡単に想像できると思います。脳の自律神経が稼働して大量の酸素を消費すると、活性酸素が発生して、細胞が酸化してサビてしまいます。自律神経の細胞がサビると、自律神経の機能が鈍ります。一過性のパワーダウンのことを「疲労」と呼び、サビきって動かなくなってしまうことを「老化」と呼びます。脳の自律神経機能のピークは10代です。50代にもなれば、老化により、ピーク時の3割くらいにまで低下してしまいます。人間の数ある機能の中でも、もっとも低下の激しい機能といえます。他のさまざまな機能の働きによって、人間が50歳を越えても生きることは十分可能です。しかし、生命活動をコントロールする自律神経機能がピークのときの3割しかパフォーマンス能力がない50代は、本来なら「過酷な自然界では死んでもおかしくないほど低下している」と言わざるを得ないのです。多くの人は、「運動ができなくなるのは筋肉が衰えるからだ」と思っているでしょう。「しっかりと筋トレさえすれば、まだまだハードな運動をしても大丈夫だ」と考えているでしょう。仕事や生活に余裕が出て、学生時代に取り組んでいたスポーツを再開する人も多いと思います。その際、筋トレやランニングなどで筋肉を鍛えることばかりに目を向けてしまい、もっとも重要な「脳の自律神経機能の低下」を鑑みる人は残念ながら少ないようです。「あの頃と同じように」動こうと頑張ってしまうと、脳をさらに激しく疲れさせ、老化を早める結果となってしまいます。現在の脳の自律神経機能に応じた「ほどほどの運動」を楽しむことが、いつまでも健康でいるための秘訣です。