認知症と口腔環境

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。認知症の原因が口にある…などと言われても、「そんな話聞いたことないし、ちょっと信じられない…」そう思う人もいると思います。口の中の健康と認知症との関係について、それを裏付けるような事実が、最近次々と解明されてきているのです。その重要なキーワードのひとつが「炎症」です。炎症は、簡単にいうと、体の外から入ってきたり、体内で生まれたりした害のあるものへの防御反応です。体は自分自身、つまり自分の細胞を破壊してでも悪いものを取り除こうとします。そうして、生命の危機から逃れようとするのです。いわば「肉を切らせて骨を断つ」という戦術、これが炎症というわけです。ただ、そのプロセスで、さまざまな作用をする「生理活性物質」というものが生まれます。それは、タンパク質の一種であったり、活性酸素であったりしますが、これらが炎症を起こしている場所だけでなく、全身的に病的な老化や認知症を招く原因になることがわかってきました。老化ひとつの症状としての認知症も、実は「脳の炎症」だといわれています。認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症はアミロイドβという特殊なタンパク質が脳内に増えることが原因ですが、脳に炎症があるとこのアミロイドβが増えやすく、またアミロイドβの増加がさらに炎症を引き起こすことが実証されています。そして、老化や認知症と関係が深い炎症は、激しい急性の炎症ではなく、むしろ「長く続く慢性の小さな炎症」だということも明らかになってきているのです。そんな小さな炎症のひとつ、口の中ので起きる炎症の代表的なものが「歯周病」です。最近では、この歯周病が、アルツハイマー型認知症に影響を及ぼしているということが知られてきました。というのも、アルツハイマー型認知症で亡くなった人の脳を調べたところ、歯周病原因菌のリーダー格であるPg菌が発する毒素LPSが高頻度で検出されているのです。これに対し、アルツハイマー型認知症を発症していない人の脳からは、この毒素は検出されていないのです。