歯周病の実体

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。気づかないうちに、あなたを蝕んでいる歯周病。そのとき、あなたの口の中では、一体何が起こっているのでしょうか。普段の歯磨きで落としきれなかった汚れや食べカスは、歯の表面や歯間、歯と歯ぐきとの間などに付着して、歯垢がつくられます。歯垢は、私たちが食べたものなどを栄養にして繁殖した細菌の塊で、単なる食べカスのことではありません。1グラムの歯垢には、なんと1億個もの細菌がいるといわれます。歯垢は、いわば細菌の巣窟です。これは、歯と歯ぐきの間のミゾである歯周ポケットの中にも多く付着します。歯周ポケットに入り込んだ歯垢は、歯を磨いてもブラシが届きにくく、菌はさらに増殖していきます。特に、歯周病が進行してポケットが3~4ミリ以上になっていると、歯ブラシの先でさえ届かず、歯垢を除去するのが困難になります。最近は、歯垢のことをバイオフィルムとも呼びますが、特にリーダー格の悪い菌を中心にして何百種類もの菌が集まり、塊を形成しています。しかもこのバイオフィルム、表面は唾液でも溶けにくい物質で覆われていて、うがいをしたくらいではとても取れません。薬を使っても、塊の内部まで充分に浸透しないため十分な効果を得ることができないのです。恐ろしいことに、強固な砦のようなバイオフィルムから放出される毒素は、口内の歯周病の病巣に開いた血管を経由して全身に散らばっていきます。LPS(リポポリサッカライド)と呼ばれるこの毒素は、血管の内部や神経組織などに炎症を引き起こすことがわかっています。たとえば、永久歯は第三臼歯(親知らず)を除いて28本ありますが、まずまず食物が噛める目安になる20本の歯がある人の場合、中程度(5ミリ)以上の病的な歯周ポケットがあると、口の中には大体72㎠、つまり手のひら1個分ほどの潰瘍があることになります。潰瘍は組織が傷ついている状態で、炎症のモトになります。口の中の病気だから大丈夫などと安易に考えていると、歯周病は、その進行とともに全身に慢性的な炎症をもたらします。この炎症こそ、重篤な病気の引き金となる恐ろしい症状であると、今注目されているのです。