老化で歩幅が狭くなる原因

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。前回、老化で歩行スピードが低下するのは、徐々に歩幅が狭くなっているからということをお話ししましたが、では、どうして歩幅が狭くなっていってしまうのでしょうか。その原因は、従来から「下肢の筋力が全体的に低下したため」とされてきたのですが、近年の研究によって、そのなかでもとりわけ歩行能力低下に影響を及ぼす筋肉が存在することがわかりました。その筋肉が「大腰筋」です。大腰筋は、腰の脊柱(腰椎)と太ももの大腿骨とをつないでいるインナーマッスルです。上半身と下半身とをつないでいる唯一の筋肉であり、直立二足歩行をするために非常に重要な役目を果たしていることがわかっています。また、大腰筋は歩行の際に足を引き上げたり踏み出したりする動作をつかさどっているのですが、この筋肉が加齢とともに衰えてくると、足を大きく上げたり大きく踏み出したりすることがだんだんできなくなってきます。それで徐々に歩幅が狭くなって、歩行スピードが低下していくというわけです。それに、大腰筋が衰えて、年々少しずつ足が上がらなくなってくると、舗道のわずかな段差に足をひっかけてつまづいてしまったり、簡単に越えられそうな障害物に足をとられて転んでしまったりということが多くなってきます。みなさんも、「どうしてこんな何でもない場所で転んでしまったんだろう」というような経験をされたことはありませんか。もし、思い当たるなら、大腰筋が着実に細ってきている証拠です。足の上がり幅や踏み出し幅が年々少しずつ狭まっているから、これまではひょいっとラクに越えられたはずの「わずかな段差」や「ちょっとした障害物」に足がひっかかってしまうことになるのです。ある時、ある場所で、つまずいたり転んだりしてしまったのは「不注意」でも「不運」でもなく、明らかな老化現象であったというわけです。