加齢による歩行スピードの低下

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。よく「人は足から老化する」と言われます。これはたいへん的を射た言葉であり、短いフレーズで老化の進行の特徴をうまく言い当てています。みなさんは、下半身と上半身とでどれくらい筋肉量の減少率や萎縮度が違うかご存知でしょうか。なんと、下半身のほうが1.5倍も大きいのです。たとえば、下半身の太ももの筋肉は、50代になると20代のときに比べて30%も減少してしまいます。でも、上半身の上腕の筋肉は、同じ50代で12~13%程度の減少に留まっています。こんなにも筋肉の減少率に差があるのですから、足から衰えていくのも当然なのです。足の筋肉が衰えれば、だんだん歩行能力が低下してくるようになります。なかでも衰えが現れやすいのは「歩くスピード」です。実を言うと、歩くスピードというのは、すでに40代、50代から少しずつ低下しているのです。40代から歩行能力が衰え始めているなんて聞くと、驚かれる方も多いのではないでしょうか。でも、これは事実です。そもそも歩行能力は高齢になってから急にガクンと落ちるわけではありません。1年1%、10年10%という筋肉の減少率と歩みを合わせるように、徐々に落ちてきているのです。おそらく、1日1日あまりにも少しずつ衰えているために、多くの人は自分の歩くスピードが遅くなってきていることに気づかないのでしょう。歩行スピードというのは、歩く際の「ピッチ(歩調)」と「歩幅」によって決まっています。このうちピッチのほうは老化の影響をあまり受けません。20代の人と60代の人の歩く際のピッチを比較したところ、ほとんど差が見られなかったという報告もあります。一方、歩幅のほうは、40代、50代から年齢を重ねるごとに少しずつ低下していくことがわかっています。ですから、老化で歩行スピードが低下するのは、徐々に歩幅が狭くなっているせいということになるのです。