愛情ホルモンは認知症に効く?

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。オキシトシンは、視床下部でつくられ、下垂体後葉から分泌されるホルモンで「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」「癒しホルモン」などと呼ばれています。動物には本来、自分を守るために、自分以外の相手を恐れ、攻撃する原始的な本能があります。オキシトシンは知らない相手を恐れるという自己防衛本能を打ち消し、仲間と共存するためになくてはならないホルモンです。オキシトシンは、分娩時に子宮を収縮させたり、分娩後、乳腺の筋繊維を収縮させて母乳の分泌を促す作用があり、女性にとって赤ちゃんを出産し、育てるために重要な働きをしています。また、母親が赤ちゃんを抱きしめ、授乳することによって赤ちゃんからもオキシトシンが分泌され、赤ちゃんは安心した穏やかな精神状態になるとともに母親の愛情を感じ取ります。親子の絆、特に母親と子供の固い絆はこのときに形成されます。さらにオキシトシンには痛みを軽減させる効果があります。みなさんの中にも子供の頃、お腹が痛いときに母親にお腹をさすってもらうと痛みが和らぐことを経験した方もいると思います。これはお腹をさすってもらうことによって鎮痛作用を持つオキシトシンが分泌されるためです。さらに、最近の研究で、オキシトシンはストレスを緩和し、幸せな気分をもたらす作用があることがわかってきました。ストレスは軽度認知障害・アルツハイマー病の要因となります。したがって、オキシトシンによるストレス緩和は軽度認障害・アルツハイマー病の予防、あるいは進行を遅らせる効果があるかもしれません。体に触れられるだけでオキシトシンは脳から分泌されます。スウェーデンや日本の医療機関で認知症患者さんの背中・手などをさすってあげる「タッチケア」を試したところ、徘徊、易怒性、易興奮性、暴言などの認知症周辺症状が軽減したと報告されています。昔、日本では治療のことを「手当て」と呼んでいましたが、これはオキシトシンを分泌させることを意味していたのかもしれません。面白いことに、オキシトシンは体に触れられる人だけでなく、体に触れる人にも分泌されます。恋愛、友人、信頼関係を築く際にもお互いの脳からオキシトシンが分泌されます。また、手助けされる人と手助けする人、ボランティアをされる側の人とボランティアをする側の人両方にオキシトシンは分泌されます。日本では、認知症ケアの一環として「デイサービス」がありますが、参加するだけでなく、そこで自分より重症の人と接し、何らかの手助けをすることができればお互いに認知症状を軽減できる可能性があります。