誠実で実直な人は死亡リスクが低い

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。「正直者が馬鹿を見る」「憎まれっ子世に憚る」など、誠実な人ほど損をして、生きづらいようなたとえの言葉がいくつかあります。確かに実社会において、ずるがしこく立ち回れる人のほうが得をするようなことは、残念ながらよく起きます。しかし、こと「寿命」に関して語る際には、「正直者が長生きする」「憎まれっ子はあの世に近い」などと、言葉を変える必要があるようです。人生の過ごし方と寿命の関係について、近年明らかになったことがあります。世界各国の人々の人格と死亡リスクとの関連について調査された7つの論文を、フィンランドのヘルシンキ大学の研究者らが統合し、その解析結果が発表されました。研究者らは、調査対象者(合計約7万6000人)の質問票に対する答えをもとに、その人格的傾向を①外向性、②神経質、③同調性、④寛容性、⑤実直性、誠実性のカテゴリーに分け、それぞれ5段階で評価したうえで、それらの人格的傾向が死亡リスクと関連性があるかどうかについて調べました。そして明らかになったのは、⑤の実直性・誠実性のみが死亡リスクと有意に関連性が認められるということです。より具体的に言えば、セルフコントロール力があって、計画的に物事を進め、何事にも手を抜かずまじめに取り組むなど、人格的に実直性・誠実性が強いと判定された人々は、それが希薄と判定された人々よりも、死亡リスクが30%以上も低くなりました。つまり、個人の人格的傾向の中でも「実直性・誠実性」が、とくに生活習慣によく反映され、ひいては寿命にも影響を与えるということが言えるのです。目先の楽しみばかりを追って快楽的に時を過ごすよりも、人生に目標を持ち、実直に健康管理を続けていくほうが、より長く人生を楽しむことができるようです。人をだましたり、貶めたりして高笑いしていられるのは、きっと人生のほんの一瞬にすぎません。最後には、実直で誠実な人生を歩んできた人が残るというのは、極めて納得のいく人生の在り方であるという気がします。