「生涯現役」元気なうちは仕事を続ける

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院  岩田です。仕事を早めにリタイアして、残りの人生を自分の好きなことをしながらゆったり過ごすというのは、誰しも一度はあこがれることではないでしょうか。仕事に追われているときなどは「明日にでも引退して、暖かい南の島にでも行って毎日のんびり過ごせたらどんなにいいだろう」などと夢想してしまうこともあるのではないでしょうか。しかしそのような夢を実現すると、結果的に寿命が短くなるかもしれないとしたら、どうでしょう。一般的には、早期退職してゆったり余生を送ったほうが寿命が延びると考えられがちですが、研究により示された真実はその真逆にありました。米国の疫学専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー」によると、ギリシャで行われた研究で、仕事をせずに余生を暮らすよりも、より長く仕事を続けたほうが長生きできるという調査結果が出ています。研究は、1万6827人のギリシャ人男女を対象に行われました。1994年から1999年の時点で、退職しているか仕事をしているかを尋ねた上、その後平均7.7年間の追跡調査を実施し、生死や死因を確認したといいます。すると、調査開始の段階ですでに退職していたリタイア組は、仕事を続けていた現役組と比べ、死亡リスクが51%も高くなりました。また、リタイアが5年延びれば、死亡リスクが10%減ることもわかっています。アメリカの石油会社大手であるシェルの社員を調査した別の論文でも、同様の結果が得られています。既に退職している元従業員3500人以上を対象に調査を行ったところ、55歳で早期退職した集団は、65歳で定年退職した集団よりも死亡率が1.37倍高くなるという結果が得られました。ただしこれらの研究は、早期退職が直接的な原因となって健康が悪化したというところまでは明らかにしてはいません。リタイア組の中には、健康状態が悪化して早期退職を余儀なくされた人々もおり、研究では調査開始時点で明らかに大病を患っていた人を除外して分析してはいますが、それでもやはり元から健康状態がよくなかった人も統計に含まれている可能性が排除できないからです。とはいえ、仕事を長く続けるほど長生きできるという傾向があることは明白ですから、それだけでも十分注目に値します。