辛いものは体に悪い?

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。ピリピリッと舌に刺激が走るような辛い食べ物は、好き嫌いが分かれるところです。好きな人はその刺激がクセになり、毎日でも食べたいと考えるものですが、一般的に「辛いものの摂り過ぎは体に悪い」というイメージがあるかと思います。しかし、それを覆す研究結果が出ています。中国で環境と生活習慣病などの疫学調査を大規模に行う「チャイナ・カードリエ・バイオバンク」で、北京大学などの中国の研究者と、米国のハーバード大学や英国のオックスフォード大学の研究者が共同で行った、辛い食事の頻度と死亡リスクに関する研究です。彼らは約48万人の中国人男女の食事に関して、平均7.2年におよび追跡調査し、蓄積したデータを分析しました。それによると、週に1~2回辛い食事を摂る習慣のある人は、週に1回未満の人に比べて、死亡リスクが10%低下したといいます。さらに、週に3回以上辛い食事を摂る習慣のある人では14%も低下し、コンスタントに辛い食事をしているほうが長生きする可能性があるという結果が出たのです。具体的な死因でいえば、ガン、心筋梗塞などの虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が有意に低下することがわかりました。これまでにも「辛い食品が健康に良い」という風説はありましたが、今回発表された研究結果は、そのことを科学的に強く肯定するものであるといえます。それでは、辛い食品はどのようにして健康に良い効果を生じるのでしょうか。この研究の対象となったのは唐辛子の辛味で、カプサイシンというファイトケミカルです。カプサイシンを摂取すると中枢神経が刺激されてアドレナリンが分泌されるため、発汗や脂肪・エネルギーの代謝が促されます。このため最近では脂肪燃焼によるダイエット効果があるとして、サプリメントとしても販売されるようになりました。もっとも、カプサイシンだけで脂肪が燃焼して肥満解消されるわけではなく、あくまで運動との相乗効果が見込める程度のものですから、過度な期待はできません。効果として確認されているのは、血行がよくなって体が温まったり、内蔵の機能が活発になって、免疫力の向上につながることです。また、食欲増進の効果もありますから、夏、食欲のないときなどに効果的に取り入れると、夏バテ解消にもなります。その他にも、抗酸化作用や抗炎症作用、抗ガン作用、降圧作用、腸内細菌叢の調整作用などさまざまな効果が、っこれまでの小規模な調査で数多く報告されてきていますが、今回の大規模な研究で明らかになった死亡リスク低減作用は、これらのさまざまな効果の総合的な作用によるものと考えられます。