インナーマッスルと姿勢

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。体幹とは、厳密には、人体から頭部、上肢、下肢を除いた胴体部分です。胸部には胸郭という骨格がありますが、腰部には背中側に腰椎が通っているだけです。かわりに姿勢の維持で重要な役割を担っているのは、深層にあるインナーマッスルです。腹部を支えるインナーマッスルは主に4つです。腹筋群の腹横筋、横隔膜、固有背筋の多裂筋、骨盤底筋群です。これらは筋膜を介して連携して働いており、腹部の内蔵をすっぽり覆ってパッケージしている腹膜内の圧力=腹圧を保っています。適度な腹圧は排尿、排便、女性の出産を助けていますが、日常でも姿勢を保つという見逃せない働きをしています。腹部のインナーマッスルが協調して収縮すると、コルセットを着けたときのように腹圧が高まり、深部(コア)を固めて姿勢を安定させるのです。コアのインナーマッスルで腹圧が高まると腰椎を伸ばそうとする力が働きます。これを伸展モーメントと呼びます。伸展モーメントが弱すぎると、腹部が前に突き出て腰椎の前彎がきつくなりすぎるため、周辺の筋肉や筋膜に常時ストレスが加わり、外部からの衝撃にも弱くなります。そこで生じやすいのが、腰痛です。腰痛にはいろいろなタイプがあり、原因もさまざまです。コルセットを着けると腹圧が高まり、伸展モーメントが働きます。伸展モーメントが働くと、腰椎へのストレスが1つの方向だけに集中することが避けられて、分散されやすくなります。それによって腰痛の症状が軽くなるのです。しかし、痛みが治まってもコルセットに頼り続けていると、コルセットに依存するようになってしまい、コルセットを着けていないと怖くなり、変な動きをしてしまうようになる恐れがあります。大切なのは、単にコルセットのようなモノや湿布薬などに頼りきるのではなく、症状を引き起こしている要因を自分なりに理解し、それを意識的に避けようとする努力です。症状を引き起こす大きな要因の1つとなっているのが姿勢です。姿勢を正しく整えようと意識するだけでも、不用意な筋肉の異常が防げますし、症状の緩和や予防にもつながると考えられます