座っているほうが腰への負担は大きい

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。通勤電車で座席が空いていると、ついつい座りたくなるものですね。座った姿勢から立つだけでも、消費カロリーはおよそ20%アップします。そう考えると、座っている姿勢のほうが立っている姿勢よりもラクにおもえますが、腰部の脊柱に加わる負担は実は立っているときのほうが小さいのです。そのことを示したのが、スウェーデンの整形外科医であるアルフ・ナッケムソンによる古典的な研究です。ナッケムソンは姿勢の違いにより、腰部の脊柱の間にある椎間板に加わる圧力がどのように変わるかを調べました。椎間板は軟骨の一種です。今川焼のような作りをしており、アンコに当たるゼラチン状の髄核を、生地に当たる繊維輪という組織が取り囲んだ作りをしています。ナッケムソンの研究の結果、まっすぐ立ったときを100とした場合、座っているときは140となり、椎間板の内圧は1.4倍になることがわかりました。さらに座ったまま前傾すると、内圧は2倍近い185まで上がり、座った姿勢で重たい荷物を持つと3倍近い275になるとわかったのです。椎間板はクッション性に富んでおり、脊柱に加わる衝撃をやわらげながら、脊柱のしなやかな動きを引き出しています。しかし、腰部の椎間板に過度の屈曲やねじれが加わったり、強い圧力がかかり続けたりすると、繊維輪が割けてしまい、そこから飛び出した髄核が周囲の神経などの組織を圧迫する腰部椎間板ヘルニアの起こるリスクが高まってきます。座ると椎間板に加わる内圧が高まるのは、腰椎のカーブが変化するためです。前傾すると上体の重みがプラスされますから、さらに内圧が上がります。自宅でもオフィスでも座っている時間が長いのに腰痛になりやすいのは、座り続けると椎間板の内圧が高まるうえに、デスクワークなどで前傾姿勢を取るとさらに内圧が上がってしまうからです。運動不足で座っている時間が長いと体幹の筋肉が衰えやすく、腹圧が下がって腰椎に対するストレスが増えてくるのも要因に挙げられます。ただし、立っているときは重力に対して姿勢を支える筋肉の負担が増えます。同じ作業なら立って行うより、座ったほうが筋肉の負担は少ないため、じっと立っていると疲れて座りたくなるのです。