呼吸と姿勢

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。成人は1分間に12~18回ほど呼吸をしています。1分間に18回だとすると、1日で2万5000回以上も呼吸をしている計算になります。人体の全細胞と組織が求める酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を排出する呼吸は健康のベースです。しかし、姿勢が悪いと呼吸が浅くなり、必要な酸素が届かなくなって細胞レベルで活動量が下がり、不要な二酸化炭素がスムーズに排出されない恐れがあります。姿勢と呼吸が関連するのは、姿勢を維持している筋肉が呼吸を助けているからです。ですから、アライメントを保つ筋肉が衰えると正しい姿勢が取れなくなるうえに、呼吸にまで悪い影響が及んでしまうのです。呼吸はどのようにして行われるのでしょうか。呼吸に関わる臓器は、胸郭に収められた左右一対の肺です。肺が大きくなると内部の圧力が下がり、高気圧から低気圧に風が流れるように酸素を多く含む空気が入ります。次に肺が縮むと内部の圧力が高くなり、二酸化炭素を多く含む空気が出ていきます。肺自体はゴム風船のような組織であり、自ら膨らんだり、縮んだりできません。かわりに肺の動きを助けるのが、呼吸筋です。その代表は横隔膜と肋間筋です。横隔膜は胸郭の底を支えているドーム型の筋肉です。収縮すると横隔膜は下がり、胸郭と肺のスペースが広がって、空気が肺に入ってきます。続いて緩むと横隔膜は上がり、胸郭と肺のスペースが狭くなって、空気が肺から出ていくのです。このほか、腹部にある腹筋群の腹横筋が収縮するとお腹全体が縮まり、横隔膜を押し上げて空気が排出されやすくなります。肋間筋とは、胸郭を作る肋骨の間にある2層の筋肉です。外側の外肋間筋と内側の内肋間筋があります。外肋間筋と内肋間筋の働きは正反対です。外肋間筋が縮むと肋骨が上がって胸郭が広がり、空気が入りやすくなります。内肋間筋が縮むと肋骨が下がって胸郭が狭くなり、空気が出やすくなるのです。横隔膜は腹圧を保つインナーマッスルの一種です。腰椎を伸ばす進展モーメントを強めて姿勢を保っています。肋間筋も肋骨と胸郭の動きを支えて、姿勢を保っています。このほか、横隔膜以外の腹筋群、僧帽筋、胸鎖乳突筋といった重力に対する姿勢の調整に深く関わる抗重力筋もまた、呼吸を助けているのです。