優しくされると脳のストレスホルモンが減る

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。前回「ユマニチュード」につてお話ししましたが、なぜ、「ユマニチュード」が奇跡のような効果をもたらしたのでしょうか。それは、脳のストレスホルモンに関係があると考えられます。ワシントン大学での研究によると、アルツハイマー型認知症では脳の中にストレスホルモンが多くなり、脳が興奮することによって、暴行、暴言などの攻撃的な行為や徘徊などが起こることがわかっています。このストレスホルモンをコントロールしているのが「海馬」で、アルツハイマー病が海馬を萎縮させることから、ストレスホルモンの分泌の抑制ができなくなるのです。暴行や徘徊などから患者さんの安全を守るために、やむを得ず体を拘束する処置がとられることがありますが、これはさらにストレスホルモンを増やし、攻撃的な行動を悪化させることになります。一方、アメリカのアズサパシフィック大学での研究では、優しく触れるケアによって、ストレスホルモンの分泌が減り、徘徊、暴力の減ることが報告されています。心地よいと感じることによってストレスホルモンが減るのです。ユマニチュードは、まさに、脳内のストレスホルモンを減少させ、脳の興奮を鎮めることによって、患者さん本来の姿を取り戻させているといえます。これらを通して、人間はたとえ認知症を患っても「人間らしくありたい」という強い願いがあり、人間として尊重されることが脳に大きな働きをもたらすことがわかります。「ユマニチュード」は、私たちがテーマとする「生涯、人間らしさを保ち幸せであり続ける」ということを、重度の認知症の方々に体現するものといえるでしょう。