五感のない世界で人間は生きていけるのか?

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。人間は、五感への刺激が極端に少ない世界で精神を正常に保つことは不可能です。カナダの心理学者ヘロンは、実験のため自分が勤める大学の学生に向けて求人広告を出しました。「仕事内容は、何もせず実験室で24時間過ごすだけ。期間は、もうやめたいと思うまで」というものでした。実験室は半防音で、室温は適温に保たれ、寝心地のよいベッドもあります。半透明の目隠しと手袋の着用が義務付けられているものの、トイレも自由に行けます。ただし、部屋には時計や雑誌など暇をつぶせる娯楽はありませんでした。被験者の多くは、まず寝ることで時間をつぶしましたが、次第に眠ることも苦痛になりました。刺激を求めて口笛を吹いたり歌ったりしだしましたが、多くの人が2~3日でリタイアしました。中には1ヶ月近くアルバイトを続けた人もいましたが、幻聴や幻覚が現れ始めたため、実験続行不可能というかたちで終了を迎えました。人間は常に外部からの刺激を求める活動的な生き物なのです。外部との関わりは、五感を通して行われます。五感の遮断が精神の崩壊をもたらすのは、周囲と関わりを持ちながら人生を歩むしかない、人間の性を象徴しているのではないでしょうか。