歳をとると頑固になるのはなぜ?

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。発達心理学者のエリクソンの説によると、高齢者の心理は統合性と絶望・嫌悪がせめぎ合っている状態だといいます。人生の残り時間が少ない老年期を迎えた人の多くは、自分が過ごしてきた時間を肯定したい気持ちが強まります。もし過去を否定すれば、それは人生が失敗だったと認めるということになります。しかし、人生をやり直すには時間が足りません。焦燥は絶望に変わり、次第に死への恐怖に苛まれるようになります。こうした内面の葛藤を受け入れ、自我が安定している状態を「統合性」といいます。統合性がうまくいかない、つまり老いゆく自分と折り合いがつけられない場合、現状を嘆き、幸福だった過去の記憶にしがみつくあまり、周囲とのコミュニケーションに支障をきたすことがあります。歳をとると頑固になる人と、逆に若い頃の角がとれて性格が丸くなる人がいるのは、統合性の成否にかかっています。また、文京学院大学の下仲順子教授は「老年期に頑固さが目立ってきた場合、それは知的能力や自己抑制力の低下や環境の変化によって適応が困難になり、本人が持っている性格の一部が先鋭化したもの。もともと柔軟で調和的な性格の持ち主は老人になってもそのような変化は示さない」と指摘しています。